てぃーだブログ › 元は、関組長の東京・永田町ロビー活動日記【ブログ版】 › 法務委員会 › たった2日間の国会審議で【共謀罪】条約を承認?

2006年04月05日

たった2日間の国会審議で【共謀罪】条約を承認?

共謀罪の基になっている<国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約>について、いつ、国会で、どのような審議がなされたのか?検索して読んでみた。

平成15年04月18日/衆議院/外務委員会←主旨説明をしただけ。

平成15年04月23日/衆議院/外務委員会←衆議院での審議は、たったの1日!
※ 採決の前に反対討論も無い。

平成15年04月24日/衆議院/議院運営委員会←本会議の議事日程を確認しただけ。
※採決の方法にこだわっていない。

平成15年04月24日/衆議院/本会議←「異議なし!」と採決をしただけ。
※記名採決、起立採決ですらなく、「異議なし!」と叫ぶだけの採決方法をとっているということは、この議案を重く扱っていないということの現れである。


平成15年05月08日/参議院/外交防衛委員会←主旨説明をしただけ。

平成15年05月13日/参議院/外交防衛委員会 ←参議院での審議は、たったの1日!
※ 採決の前に反対討論も無い。

平成15年05月14日/参議院/本会議←投票ボタンで採決をしただけ。

その会議録から<国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約>に関係のあるところだけを以下に引用した。

■衆議院/外務委員会

平成十五年四月十八日(金曜日)
    午前九時十七分開議
 出席委員
   委員長 池田 元久君
   理事 今村 雅弘君 理事 蓮実  進君
   理事 水野 賢一君 理事 森  英介君
   理事 首藤 信彦君 理事 土肥 隆一君
   理事 丸谷 佳織君 理事 藤島 正之君
      伊藤 公介君    植竹 繁雄君
      小池百合子君    高村 正彦君
      新藤 義孝君    土屋 品子君
      中本 太衛君    松宮  勲君
      宮澤 洋一君    木下  厚君
      今野  東君    中野 寛成君
      鳩山由紀夫君    白保 台一君
      松本 善明君    東門美津子君
      柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
四月十七日
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)
同日
 アメリカのイラク攻撃反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七七四号)
 同(小沢和秋君紹介)(第一七七五号)
 アメリカの対イラク戦争・劣化ウラン戦争への支持・協力反対に関する請願(今川正美君紹介)(第一七七六号)
 同(植田至紀君紹介)(第一七七七号)
 同(大島令子君紹介)(第一七七八号)
 同(山内惠子君紹介)(第一七七九号)
 同(今川正美君紹介)(第一八一三号)
 同(大島令子君紹介)(第一八一四号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八一五号)
 同(阿部知子君紹介)(第一八六九号)
 同(今川正美君紹介)(第一八七〇号)
 同(山内惠子君紹介)(第一八七一号)
 イラクへの軍事攻撃反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七八〇号)
 同(大幡基夫君紹介)(第一七八一号)
 同(春名直章君紹介)(第一七八二号)
 同(松本善明君紹介)(第一七八三号)
 イラクへの武力攻撃反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七八四号)
 国際法や国連憲章に反する米国のイラク攻撃反対に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一七八五号)
 戦争支持の撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七八六号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七八七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

     ――――◇―――――
○池田委員長 これより会議を開きます。
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府から趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣川口順子君。
    ―――――――――――――
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○川口国務大臣 ただいま議題となりました国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成十二年十一月にニューヨークで開催された国際連合総会において採択されたものであります。
 この条約は、国際的な組織犯罪を防止し及びこれと戦うため、重大な犯罪を行うことを合意すること等一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪収益の没収、犯罪人引き渡し等につき規定するものであります。
 我が国がこの条約を締結して早期発効に貢献することは、国際的な組織犯罪に効果的に対処するための国際的な取り組みに寄与するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○池田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前九時十九分散会

■衆議院/外務委員会

平成十五年四月二十三日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 池田 元久君
   理事 今村 雅弘君 理事 蓮実  進君
   理事 水野 賢一君 理事 森  英介君
   理事 首藤 信彦君 理事 土肥 隆一君
   理事 丸谷 佳織君 理事 藤島 正之君
      伊藤 公介君    植竹 繁雄君
      小池百合子君    高村 正彦君
      下地 幹郎君    新藤 義孝君
      武部  勤君    谷畑  孝君
      土屋 品子君    中本 太衛君
      松宮  勲君    宮澤 洋一君
      伊藤 英成君    木下  厚君
      今野  東君    中野 寛成君
      鳩山由紀夫君    白保 台一君
      松本 善明君    東門美津子君
      鹿野 道彦君    柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   内閣官房副長官      安倍 晋三君
   法務副大臣        増田 敏男君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   文部科学大臣政務官    大野 松茂君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 上杉 道世君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 河村  博君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 吉川 元偉君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 篠田 研次君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局国
   際社会協力部長)     石川  薫君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            薮中三十二君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           金森 越哉君
   政府参考人
   (海上保安庁警備救難監) 横山 鐵男君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   外務委員会専門員     辻本  甫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  高村 正彦君     谷畑  孝君
同日
 辞任         補欠選任
  谷畑  孝君     高村 正彦君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件(条約第一号)
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件(条約第二号)
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

     ――――◇―――――
○池田委員長 これより会議を開きます。
 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件及び国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官吉川元偉君、同じく大臣官房審議官篠田研次君、同じく総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君、同じくアジア大洋州局長薮中三十二君、内閣府大臣官房審議官上杉道世君、法務省大臣官房審議官河村博君、同じく大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、文部科学省大臣官房審議官金森越哉君、海上保安庁警備救難監横山鐵男君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君、それぞれの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
○池田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野東君。

~中略~

○首藤委員 民主党の首藤信彦です。
 きょうは、まず条約審議、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約について、まず質問を始めたいと思います。
 ちょうど副大臣も来られて、いいタイミングであると思いますけれども、外務大臣、私、こういう条約を見て、いつも不思議だと思うんですよね。やはり条約というのは、日本と国際社会をつなぐ一つの大きなかけ橋のようなものだと思うんですよね。
 この問題、条約というのは国際社会との合意である。国際法に基づいて、我々はそれを遵守するということなんですが、もちろん国内法という視点があります。しかし問題なのは、その国際的な合意というものが果たして国内的なものにきちんと情報が正しく伝達されているかということだと思うんです。
 この問題、国際的な組織犯罪の防止に関する条約でありますけれども、これは世界で今起こっているいわゆる組織犯罪、マフィアとか蛇頭とか、本当に規模が大きくなって、今まで想像もできなかったような大きな力を持っている。軍隊に匹敵するぐらいの力を持っているというところもある。それから、今まで日本の国内で犯罪が起こったら、それは日本の国内で捕まえることができたので、日本では検挙率が非常に高かったんですけれども、日本の検挙率が、もう何と二割ぐらいまで落ちてきているということですね。ですから、さまざまな問題があるということがあるわけですが、ここで、国際的な組織犯罪のこの条約を見ると、いろいろなことを思うわけです。
 もともとこの国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約ということですけれども、これを読むと、国際的な組織犯罪というのではないんですね。何と書いてあるかというと、トランスナショナル・オーガナイズド・クライムとなっていますね。これは国際的な組織犯罪というふうに翻訳されているわけですが、これはちょっとスコープが違うんじゃないか、そういうふうに思うんですね。
 すなわち、国際的な組織犯罪というと、それはマフィアであり、何か大きな、世界で広がっているもののようにも思われる。しかし、これをトランスナショナル、すなわち国境を越えている犯罪というふうにとらえると、これは目の前に北朝鮮の問題があり、韓国の問題があり、中国の南部の問題があり、それからあるいはインドネシアやフィリピンやそうした問題もある。にわかにスコープが変わってくると思うのですね。
 なぜこうした問題を、例えば越境的あるいは多国間的な犯罪というふうには訳さずに国際犯罪と定義づける必要があるのか、外務大臣、その哲学的な背景をぜひ外務大臣として説明いただきたいのですが、いかがでしょうか。
○川口国務大臣 文言の問題でございますので、事務当局から説明させます。
○篠田政府参考人 トランスナショナルということが国際的なということで訳文上訳されておるということについてのお尋ねかと思いますけれども、このトランスナショナル・オーガナイズド・クライムということを言っておりますけれども、この国際組織犯罪というのは、国際社会の複数の国にまたがって組織的に敢行される犯罪だということで、その形態は非常に複雑かつ多岐にわたっております。
 トランスナショナルというのは国際的ということで、ここで訳しておりますけれども、従来このような意味合いにおいては国際的なというふうに訳すということが適当だということで考えてきております。越境的という言葉は、一般的な日本語の用法ということでは適当ということではないので、条約の訳語としては国際的という言葉を使っているわけでございます。
○首藤委員 私はこの言葉にある外務省の基本的なスタンスや哲学的な枠組みを聞こうと思ったのですが、事務当局でも結構ですから、じゃ、今までにインターナショナルという表現があったのか。インターナショナルとトランスナショナルという原文があったときに、その差をつけているのかどうか、いかがですか。事務当局で結構です。
○篠田政府参考人 この条約について考えますと、トランスナショナルというときには国際的ということで訳すことが適当だということを申し上げましたけれども、インターナショナルということで使われている用例は数多くあるかと思っておりますが、これは一般に国際的というふうに訳しているかと思います。
○首藤委員 外務大臣、今お聞きのように、これは大きな問題なんですよ。英語では、国際社会では、トランスナショナルとインターナショナル、きちっと分けているんですよ。これが同じ日本語になっているのはおかしいんですよ。外務省の条約に対する取り組みは根本的に間違っていると言わざるを得ないんですね。これはもう重大な指摘なので、今のこの段階で指摘しておきますけれども、このことが国内での実行法をつくるときに大きな問題となってくる。だから、それを単にトランスナショナルとインターナショナル、この差をきちっと把握しないでこのまま一般的にこの条約を日本語に直しているというのは大変な疑義があると言わざるを得ないんですね。
 かように、私は、こうした犯罪に対する国連条約というものは必要だとは思いますが、内容的に大変疑義の多い条約であるということがわかります。例えば、我が国の法に刑法上なじまない、例えば五条の(a)の(1)、共謀罪、二十三条の証人買収罪、こうしたものは我が国の刑法上なじまない。こういうものに対して、どのような根拠でこれを是認し、この条約に対して署名したのか、外務大臣、いかがでしょうか。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 共謀罪と証人買収罪の五条と二十三条のお話、御質問をちょうだいいたしましたが、国際的な組織犯罪の取り締まり及び防止を一層実効的なものにするためには、単に重大な犯罪の実行行為を処罰するだけではなくて、その犯罪の実行行為を共謀する行為も処罰の対象にすることが、先ほど先生もおっしゃった現在の国際組織犯罪の実態にかんがみて不可欠であるということは、この条約の審議を通じての各国の総意だと認識しております。
 例えば、他国の例を申し上げさせていただきますと、アメリカ、イギリス、カナダなど主要国においては、一定の犯罪の実行行為を共謀する行為を犯罪としております。また、我が国においても既に、一定の犯罪についての実行の着手前の共謀あるいは陰謀を独立して犯罪としております。さらに、この条約は、国内法制上必要な場合には組織性を要件とすることも許容していることから、我が国として、組織的な重大な犯罪に限定して当該犯罪を行うことを合意する行為を犯罪化することは、日本の刑事法体系になじまないということにはならないのではないかというふうに考えています。
 また、証人買収罪についてお尋ねがございましたけれども、これは、刑事事件に関し、虚偽の証言等の報酬として、金銭その他の利益を供与した場合などに成立するものです。
○首藤委員 だから、そんなことは知っているんだよ。そんな、内容を教えてもらわなくたっていいんですよ、時間が限られているんだから。
 質問は、例えば日本の刑法になじまないものに対して、なぜこういう形で条約が出てきているのか、そこにはどういうようないきさつがあったのか、それをお聞きしたいんですけれども、手短にお願いします。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、国際組織犯罪の、大変な発展というような言葉は悪うございますが、ばっこと言ったらよろしいんでしょうか、そういう実態があって、彼らの犯罪実態からこの問題意識が出発したことは、委員御承知のとおりかと存じます。
 彼らの犯罪形態と戦っていくためには、その共謀の段階から、あるいはその証人というものを萎縮させる等の司法妨害でございますけれども、そういったことに手当てをしないと実効的な組織犯罪との戦いができない、こういう認識が交渉中に確認されたという経緯でございます。
○首藤委員 いやいや、答えていただいていないですよ。
 我が国の国内法における法体系、刑法体系というものがどういう形でこの条約に反映されていますか、あるいは反映されていないのですかということをお聞きしているのですが、いかがですか。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御承知のとおり、今回の条約で重大犯罪あるいは共謀そのほかの条約創設犯罪が規定されているわけでございますけれども、一部のものについては国内担保法というものの手当てが必要で、今国会に国内担保法のお願いをするというふうに承知しております。
○首藤委員 全然違うじゃないですか。
 そういう日本の国内法体系が逆に国際社会にどういう影響を与えたかということを聞いているんですよ。その結果として出てきたのか、あるいは日本は関係なくて、おっしゃるとおり、このとおりやりますよ、国内法も変えますよという形で言っているのか。いかがですか。時間がないから、早く、急いでください。
○石川政府参考人 我が国の現行法上、共謀、陰謀が犯罪化されている規定として、幾つか例を挙げさせていただきます。
 刑法七十八条の内乱、陰謀、刑法八十八条の外患誘致、陰謀、外患援助、陰謀、刑法九十三条の私戦陰謀、あるいは競馬法三十二条の六の公正を害すべき方法による競走の共謀、国家公務員法百十条第一項第十七号の違法な争議行為等の共謀でございます。
○首藤委員 全く答えていただいていないですよ。
 だから、そうした合意のものがどうやってそうした評価になったのか。日本の刑法体系が、外交官がこの会議に参加しながら全然反映されないとしたら、何で、どうしてサインできたんですか。外務大臣、いかがですか。
○茂木副大臣 委員御指摘の、国際的な組織犯罪、これは、御案内のとおり、日本特有の現象から起こって、世界に拡大しているという問題ではないわけですね。それぞれの国においてこういった問題に対応しなきゃならないということでありますから、そのための国際枠組みをつくり、それに沿って国内法をつくっていく、それが順番になってくるんだと思います。
○首藤委員 全然質問に答えていないですよ。そんなことはわかっているんですよ。
 条約ができたら国内法を変える。日本の条件に合わせてやる。今は、国際社会は相互方向性の時代なんですよ。日本の法体系、我が国の誇る法体系がどういうふうにこの条約交渉に反映されたか、そこを言っているんですよ。逆のことを言っているんですよ。そんなことができなかったら、サインしちゃいけないじゃないですか、こんな条約に。どうですか。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 初めに、国際組織犯罪のばっこという、グローバル化された世界での事実が残念ながらあったということを私どもは強く認識した次第でございます。例えば、そういう認識を踏まえて、二〇〇〇年の九州・沖縄G8サミットにおきましては、この国際組織犯罪に関する条約を早く締結しましょうということをコミュニケにうたわせていただきましたが、これはまさに日本がホスト国としてリードした分野でございます。
 委員御指摘の国内法との関係につきましては、もとより、関係省庁とも十分協議しながら交渉に臨ませていただきまして、その上で、国内担保法の新たな手当てが必要なところにつきましては改めて国会にお願いをする、こういう手当てになっている次第でございます。
○首藤委員 全く答えていただいていないですよ。何を言っているのかわかっているんですか。
 なぜ私が最初に国際化、越境的かと言っているのは、マフィアのように世界のどこかに、片隅にあるんじゃなくて、これは日本の犯罪が関係してくる。日本の犯罪が、例えばアジアの諸国と結びついている。要するに、主体は日本なんですよ。これは、他人の、どこかの人の庭で起こっているんじゃなくて、私たちの庭で起こっていることがどういう問題かということで、こんなに犯罪が蔓延し、今日本で起こっている一般犯罪の検挙率は二割を切っている。ピッキングが起こり、どんなところでもいろいろな問題がある。凶悪犯罪がふえている。しかも、そういうような者が、ファクスや無線で連絡を取り合ってやっている。不審船だって、工作船だって、日本の携帯電話を積んでやっている。日本のこういう状況に我々はどういうふうに反応しているか。
 だから、いかに我々の抱えている問題がこの条約に反映されているんですかということをお聞きしているんですよ。いかがでしょうか。
○篠田政府参考人 この条約の仕組みでございますけれども、国際犯罪に国際協力をもって対抗していくということを目的といたしまして、それぞれの国、締約国における刑事司法制度というものを強化していくということ、それをもって、それを前提にいたしまして国際協力を行っていくということでございます。
 基本的な考え方といたしましては、各国の法制度というものを尊重しておりまして、それぞれの犯罪の訴追、それから司法手続、こういったものはそれぞれの締約国の法律に基づいて行われるということになっておりますし、この条約の各所に「自国の国内法の基本原則に従い、」でありますとか「自国の法制の基本的な概念に従うことを条件として、」というような規定がございますとおり、基本的には、各国がそれぞれの制度を維持し強化しながら国際協力により国際犯罪を防止していく、そういう枠組みを定めているということでございます。
○首藤委員 委員長、もうおわかりだと思うんですね。皆さんもおわかりだと思うんですけれども、条約というのは、何か世界でつくって、それを我が国の法律に合わせるということじゃないんですよ。抱えているのは私たちの問題であり、各国が抱えている問題を、国際社会で、国際条約という形でつくっていくわけですよ。ですから、私たちの問題がいかにこの条約に反映されているかということを聞いているのに、それが答えられないというのはどういうことなのか。
 外国で何か決まったら、つくった法律に関しては、へえへえとそれを受け取って、それを日本の刑法に合わせるというんじゃなくて、私たちの問題を今同時的に起こっている世界的な問題にどういうふうに対応していくかという問題なんですよ。それが答えられなかったら、これは成立しないじゃないですか。
 これをやっていればもう時間がないので、その次にもう一つお聞きしますけれども、この問題でやはり一番大きいのは、第五条の(a)の(1)の共謀罪のところなんですね。これは重要だから、これを私はしっかり読みました。驚くことを発見したんです。第五条「組織的な犯罪集団への参加の犯罪化」、1の(a)の(1)ですね。「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに」ということがあるんですが、ふと考えたんですね、「金銭的利益その他の物質的利益」と。
 今、犯罪というものはいろいろなことが行われている。例えば、ハッカーもある、あるいは所有権、あるいはいわゆるインタンジブルアセット、無形財産権、こんなものもいろいろあって、金銭的利益はわかるけれども、その他の物質的利益、何か置き引きのようなことを言っているのかなと私ふと思ったんですよ。そして、原文を読んでみました。何と書いてあるか。外務大臣、ちょっと原文をお読みになっていただきたいと思いますが、第五条の1の(a)の(1)です。
 それで、これは、その対象となる犯罪行為はファイナンシャル・オア・アザー・マテリアル・ベネフィットとあります。マテリアルベネフィットというのは物質的利益ではなくて、これは例のイラクのUNMOVICで問題になったマテリアルブリーチと同じですよ、インポータントという意味ですよ、物質的じゃなくて。もしそれが物質的だと言いたいなら、それはファイナンシャル・オア・マテリアル・ベネフィットですよ。
 これは誤訳じゃないですか。いかがですか。明らかに誤訳ですよ、これは。
 委員長、そうでしょう。
○池田委員長 委員長は発言する権限はありません。(首藤委員「いやいや、見てくださいよ」と呼ぶ)これはよく見ています。
 篠田審議官。
○篠田政府参考人 物質的な利益という訳語についてでございますけれども、これは交渉の経緯から申しまして、金銭的その他のいわゆる物質的な利益ということで、重要なというその理解は、この交渉に参加した国の中に特段ございません。したがいまして、「金銭的利益その他の物質的利益」ということでいいかと思っております。
○首藤委員 いや、そんなのは納得できない。
 では、聞きますよ。では物質的利益、それ以外の所有権とかそういうインタンジブルなもの、無形なものに対して、あるいはハッカーの行為に対してどうですか。今まさにハッカーが国防省に入っていく、国防省のいろいろなところに入っていく、ホームページを荒らす、もうとてつもない犯罪行為ですよ。それから宗教の問題もあるし、人の心にも入っていく、さまざまな今いわゆる金銭的以外のものがあるわけですよね。それは、例えば心の問題がどうして物質的なんですか。いかがですか。
○石川政府参考人 心の問題について御指摘をちょうだいいたしましたが、一般的に宗教団体といったことの活動を念頭に置いての御質問かと理解いたしますけれども、例えば宗教団体が通常の活動を営む限りにおいて、組織的な犯罪集団に当たることはございません。
○首藤委員 質問が全然違うじゃないですか。
 委員長、これは私はもう明らかな間違いだと思う。これは英語の間違いだという、英語の違いだというけれども、大変なことですよ。我々の法律がこれに基づいて、日本語に基づいて我々もみんな検討しているわけですよ。原文と違うわけですよ。これはもう一度、専門家を入れて精査してやり直していただきたい。私はもうこれ以上論議できない。いかがでしょうか。
○池田委員長 政府側どうですか、的確に答弁してください。篠田審議官。
○篠田政府参考人 この訳語の問題につきましては、政府部内で熟慮に熟慮を重ねまして検討しました結果でございまして、この訳語に間違いはないというように考えております。
○首藤委員 いや、だからそれを説明してください。だから、どうしてこれは物質的なのか。「金銭的利益その他の物質的利益」になるのか。どうしてハッカーとかそういうような犯罪が含まれないのか。おかしいですよ。
 委員長、もう一回言いますけれども、これはやはり時間をかけてきちっとこの問題をやってください。これは余りにも影響が大き過ぎる。いかがでしょうか。
○池田委員長 では、外務大臣から答弁させます。外務大臣。
○川口国務大臣 言葉、特に英語については非常に首藤議員が堪能でいらっしゃり、よく知っていらっしゃるということは、私はよく存じ上げております。
 ただ、これは、条約について解釈をする立場あるいはそれをつくる立場、また先ほど篠田審議官が言いましたように、これは国際的にずっと議論をなされた、その上でのこういう内容であるということの議論を踏まえての訳でございます。
 したがって、日本語で書いているような訳が正しいということを申し上げたいと思います。
○首藤委員 それは大臣、とんでもないことじゃないですか。私は、英語がうまいからこうやってチェックしているんじゃないんですよ。条約審議だからチェックしているんですよ。今まではそういうことがやられていなかったとしたら、実はすごい大きな問題なんです。
 さっきのトランスナショナルとインターナショナルの差だって本当に大きな問題だ。それを漠然と、外国の、だから国際的と訳したことがすごく大きな間違い。外国では違うんです、トランスナショナルとマルチナショナルとも、全部違うんですよ。テロリズムだって、マルチナショナルテロリズム、トランスナショナルテロリズム、グローバルテロリズム、全部違うんですよ。それが全部日本では「国際的」になっている。
 しかも、こんな、今一番大きな問題に関して、「金銭的利益その他の物質的利益」、おかしいですよ。今問題となっているような犯罪の形態が含まれていないんだから、明らかにこれは誤訳なんですよ。
 ですから、これは時間を置いて。私は納得しない。だから、やはり政府が間違っているのか、間違っていないのか。これは、こういう、含めるのか。このときにそうした話が行われているなら、それを証明する追加資料を出してください。いかがでしょうか。
○池田委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○池田委員長 では、速記を起こしてください。
 では、答弁を求めます。篠田大臣官房審議官。
○篠田政府参考人 金銭的その他の物質的な利益ということの意味でございますけれども、これは、金銭その他物質的な欲望とか需要を満たすものということで、純粋の精神的な利益というようなこと、およそ物質的な利益に無関係なものは除外される非常に広い概念であるということでございますので、この中には先生が御指摘のようなことを含めて、非常に幅広い利益というものが含まれるというふうに考えております。
○首藤委員 いや、それは全く納得できないですよ。これは法律ですからね。
 では、物質的であれば、それは共謀したというなら、やはりそれは日本の国内法でも訴追される。しかし、精神的なダメージを与えたり、それからハッカー的なことをやったりしたら、これは物質的にはならないですよ、法律用語として。どうしてそれが物質なんですか。それは全く説明になっていないですよ。
 これは幾らやったって同じですよ。だから、もう一回引き取ってください。
○池田委員長 石川国際社会協力部長。的確に答弁してくださいよ。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 この条約の交渉経緯から一言申し上げるべきでした。おわび申し上げます。
 本件は、先ほど申しましたように、国際組織犯罪のばっこというところから出発しておりまして、そこにおける金銭的、物質的な利益ということに対する取り組みとしての条約交渉をしようというところから出発したということを冒頭に申し上げるべきでございました。補足させていただきます。
○首藤委員 そんなことはわかっているんですよ。だから、この法律が重要で、法律の箇条が重要なんですよ。
 だから、それだったら、どうしてファイナンシャル・アンド・アザー・マテリアル・ベネフィットになっているんですか。ファイナンシャル・アンド・マテリアル・ベネフィットじゃないですか、それだったら。そうじゃないでしょう。だから、ファイナンシャルと言っていてアザーと言っているのはそういうことでしょう。いかがですか。
 もう英語もフランス語も堪能な石川さんが知らないわけないでしょう、こんなこと。英語読んでおかしいと思うでしょう。いかがですか。
○池田委員長 質問者に申し上げますが、何度繰り返しても同様な状況でありますので、理事会で正面から取り扱いをいたします。(発言する者あり)いや、委員長が理事会で取り扱います。
 なお、今答弁の申し出がありますから、外務大臣から一言答弁をさせます。川口外務大臣。
○川口国務大臣 こういうことは恐らく素人がお話をした方がわかりいいかと思いますので、そういう意味でお話をさせていただきますけれども、先ほどの「金銭的利益その他の物質的利益」ということのアザーの意味ですけれども、これは、金銭的利益も物質的利益の一部であるわけですね。したがって、金銭的というものをその中から特掲をして「金銭的」と言い、それから「その他の」というのは、アザー、物質的、マテリアルということを言っているわけでして、これは通常書かれる書き方であると私は理解をいたしております。
 それから、もう一つ、委員がおっしゃっていらっしゃるように、このマテリアルというのが、マテリアルブリーチの重要なということで解釈をもし仮にしますと、金銭的、ファイナンシャルというのは、すべてマテリアルな目的、利益ということになりまして、それはそういうことではないということですね。
 それから、ハッカー云々というお話がございましたけれども、ここで言っている「金銭的利益その他の物質的利益」云々ということは、これは犯罪そのものの話ではなくて、目的として書かれているわけですね。「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」、したがって、これは目的の部分です。
 犯罪そのものというのは、ハッカーが精神的な喜びのためやるかもしれません。あるいはその金銭的利益その他の物質的な利益を得るためにやるかもしれません。それは犯罪の形態が異なるといいますか、目的が異なるわけでして、その場合、要するにここで書かれているような目的のために犯罪を行うこと、ほかに要件はありますけれども、そういうことが一つの、「一方又は双方の行為」というふうに書かれているわけですから、そのような行為は犯罪となる。ですから、ハッカー自体は、目的によって犯罪になる場合もあればならない場合もあるということでございます。
 かいつまんで平板に申し上げると、そういうことでございます。
○首藤委員 いや、それはもう全然納得できてないですね。ですから、これに関しては専門家の見解をきちっと出していただきたい。本当にそれは、いずれ国内法でやはりこれは対象になりますから、それは明確にしていただきたいと思うんですね。
 さて、それでは一般問題について……
○池田委員長 ちょっといいですか。
 先ほど委員長の言ったような取り扱いをさせていただきます。
 審議を進めたいと思いますので、次に移ってください。首藤君。
○首藤委員 さて、それでは一般質問に移らせていただきますけれども、今イラクの問題で、この紛争というのが一体なぜ起こったかというと、それは、イラクが大量破壊兵器を持っているんだということでこれは攻撃が行われたわけですね。これは、まだ要するに攻めなければわからない、それから占領してみなきゃわからない、こう言ってみたんですけれども、もう二、三日中に勝利宣言も出てしまう。
 それで、じゃ、一体大量破壊兵器という、それはどうなったのか。では、そういうことを、もし見つからなかった場合、それを勝手に国連決議を無視して侵攻したアメリカの破壊責任はどうなるのか。それから、そうしたものに関して、今までの国の方針の立場を超えてやっていった日本の、日本がそれを支持したわけですから、その日本政府の責任はいかがでしょうか。外務大臣、いかがですか。

~中略~

○松本(善)委員 それを早急に前向きにやることを求めて、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約について質問をいたします。
 これは、マフィア、暴力団とか蛇頭など、麻薬、銃器だとかそういうものの密輸などに代表される国際的な組織的犯罪に効果的に対処するということであります。これに国際的な協力を進めることは当然のことであります。
 ただ、同僚委員も質問をいたしましたが、いろいろ新しいたくさんの新罪の創設というようなことになりますので、参考人であるとか連合審査をするとか、そういうような慎重な審議を尽くすということが必要なものであろうと思います。理事会で提起をいたしましたが、それに合意を得られなかったのは大変遺憾なことだと思いますが、それらの問題点について、ここでただしておこうと思います。
 まず、これは第三条で、国際的な性質があり、組織的な犯罪集団が関与する場合の五条、六条、八条、二十三条の犯罪について規定をしているわけでありますが、一方、三十四条の二項、これが一番問題になるわけなんです。ここの二項では、五条、六条、八条、二十三条の規定に従って定められる犯罪については「各締約国の国内法において、第三条1に定める国際的な性質又は組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定める。」と。これはどういう趣旨でしょう。
○篠田政府参考人 今御指摘になられました「組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定める。」という意味でございますけれども、これは、国内法においてこの四つの犯罪について犯罪化をする際に、国際的な性質または組織的な犯罪集団の関与の存在というのは条件とはしないで犯罪化することを義務づけるという意味と解しております。
○松本(善)委員 ということは、国際性、組織性を排除して広く国内法では定める、こういうことですか。
○篠田政府参考人 国内法で犯罪化をいたします際に、この二つの要件、国際性及び組織性ということについて、この四つの犯罪については要件としないということを義務づけておるものでございますが、この四つの犯罪のうち、実は第五条の共謀罪……(松本(善)委員「それは後で」と呼ぶ)はい、わかりました。
○松本(善)委員 それで、この「関係なく定める。」というのは、定めてもいいか、定めなければならないか、どっちなんでしょう。
○篠田政府参考人 これは、「関係なく定める。」というのは、つまり国際性や組織性の存在を条件とすることなく犯罪化することを義務づけた規定と解釈されるわけでございまして、あくまでも国際性及び組織性ということを要件としないで犯罪化することを求められているというふうに考えております。
○松本(善)委員 そういうふうに解釈する根拠、定めてもいいというふうな解釈は成り立たないのか、その点についての考え方を聞きたいと思います。
○篠田政府参考人 実は、この条約の第三条1は、この条約の適用範囲対象となります犯罪をまず「性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するもの」ということに限定をしておりますけれども、同時に「別段の定めがある場合」にはこれは例外であるということを第三条は定めております。
 この「別段の定め」という規定を受けまして、第三十四条二項、これは先生御指摘の条項でございますけれども、ここで、いわゆる条約創設犯罪、四つの犯罪類型に対しましては「各締約国の国内法において、」「国際的な性質又は組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定める。」ということを義務づけております。五条については特殊な事情がございますけれども。
○松本(善)委員 私の聞いているのは、よく質問を聞いてね。それはそれでわかるんですよ、言っていることは。私の聞いていることは、この「定める。」というのは義務的だと言ったが、それはなぜなのかと。何を根拠にそういうふうに言うのかということなんですよ。これを義務的と考えるかどうかによって大きな違いが出ます。
○篠田政府参考人 今先生御指摘の、「関係なく定める。」というところが義務的だというふうに解釈をしておりますけれども、この部分の英語の正文におきましてもシャルという言葉、つまり、しなければならないという趣旨の言葉が使われているわけでございまして、したがいまして、ここは義務であるというふうに考えております。
○松本(善)委員 これはフランスが提案したというふうに聞いていますが、各国も同じように解釈しているでしょうか。
○篠田政府参考人 私が承知しておるところでは、この条約の交渉過程におきまして、G8を中心に、この条項については義務的にすべしであるという考え方が主流でございまして、それをもとにフランスが提案して、結局それが最終的な規定になっていったというふうに理解しております。
○松本(善)委員 主流というから、そうでないところもあるのかもしれませんが、それはそれで聞いておきましょう。
 その後の、「ただし、第五条の規定により組織的な犯罪集団の関与が要求される場合は、この限りでない。」これはどういう意味になるんでしょう。
○篠田政府参考人 この四つの犯罪類型につきましては、三十四条の二項によりまして、組織性、国際性というものを要件としないということを義務づけておりますけれども、その例外といたしまして、五条に定める共謀罪については、国内法に求めがある場合には組織性というものを要件としてよいということを定める規定でございます。
○松本(善)委員 そうすると、この五条によって共謀罪が約五百生まれると。それから、五条以外のものでも新罪が広範に創設されるということになるのは、この条項からですね。それはなぜそういうことになるのか、なぜそういうふうにすると条約は規定しているのか、そこを説明してほしい。
○篠田政府参考人 これは、国際的な犯罪というものを効果的に取り締まっていくために、共謀罪について各国の国内法において犯罪化をすべきだということで定められたわけでございますけれども、この点につきましてのみは、「組織的な犯罪集団の関与」ということが各国の国内法において条件づけることが求められているときにはこれを入れていくということでよいということを定めているということでございます。
○松本(善)委員 要するに、この「組織的な犯罪集団の関与」している場合は国際性を排除していい、こういうことでしょう。その場合に、先ほど同僚委員の質問もありましたが、乱用の危険があるのではないかという心配がされているわけですね。日弁連からも意見書が出ています。その乱用の危険がありませんか。
○篠田政府参考人 この五条の共謀罪につきましては、すべての犯罪について、犯罪の実行の合意が成立しただけで無条件に処罰をしようということではございませんで、ただいま申し上げましたように、「組織的な犯罪集団の関与」という追加的な要件を採用しておるわけでございますし、この共謀の対象犯罪というのを長期四年以上の自由剥奪の犯罪ということに限定をしております。
 また、我が国国内法の分野にわたりますけれども、我が国におきましては、捜査は、逮捕、勾留、捜索、差し押さえ等、強制捜査を行うに当たりましては原則として裁判官の令状を必要とするという厳格な手続を定めておりまして、新たに組織的な犯罪として共謀罪を新設いたしましても乱用の危険はない、かように考えております。
○松本(善)委員 先ほど同僚委員の質問に対して、暴行罪について答えていたけれども、傷害だったら長期四年以上になるんですよ。そうすると、長期四年以上というのは相当広範なんです。これが「組織的な犯罪集団の関与」というのはどういう意味なのか、この条約では決めているんじゃないんですか。
○篠田政府参考人 「組織的な犯罪集団の関与」ということで、これを国内的には、団体の活動として犯罪実行のための組織により行うこと、または団体の不正権益の獲得等の目的で行うことを共謀した場合という、結果実現の危険性が高く、悪質重大な組織的な犯罪の共謀に限って処罰することとしております。
○松本(善)委員 「組織的な犯罪集団」というのについては、この二条の「用語」のところの(a)、組織的な集団等については(c)で否定しているのではありませんか。
○篠田政府参考人 先生御指摘のとおり、「組織的な犯罪集団」というのは第二条で定義規定がございます。この定義規定はある程度緩やかな定義規定になっておりまして、これを国内法に置きかえる、国内法で担保していく場合に、これをどのように定義していくかということは、基本的には各国に任されているということでございます。
    〔土肥委員長代理退席、委員長着席〕
○松本(善)委員 そこをちょっとはっきりしておかないかぬのだな。三十四条二項のただし書きは「第五条の規定により組織的な犯罪集団の関与が要求される」。この「組織的な犯罪集団の関与」というのは、二条の「用語」の(a)「「組織的な犯罪集団」とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう。」それから、(c)は「「組織された集団」とは、犯罪の即時の実行のために偶然に形成されたものではない集団をいい、その構成員について正式に定められた役割、その構成員の継続性又は発達した構造を有しなくてもよい。」これは、三十四条の二項のただし書きの「組織的な犯罪集団」の判断にそのまま適用されるのではないか。その辺のことはあなたの方から言うのが当然なんだ。
○篠田政府参考人 五条の(a)では、重大な犯罪を行うことを合意することを犯罪として義務づけておりますけれども、組織的な犯罪集団が関与することを要件とすることが国内法上求められている国については例外的にこれを付与するということが認められておるわけでございます。
 この参加罪及び重大犯罪の教唆、幇助ということにつきましても、この要素の中に「組織的な犯罪集団の関与」というのが含まれているということでございます。
○松本(善)委員 これは時間をかけても、ちょっと時間を別にして、きちっと答えさせてほしいと思います。
 要するに、聞いていることは、ただし書きにある五条についての「組織的な犯罪集団の関与」という言葉は、二条の「用語」の(a)、(c)、「組織的な犯罪集団」「組織された集団」ということの用語によって解釈するのかどうか。これはちゃんと答えないとだめだよ。答えるまでは、ちょっと時間を別にしてください。
○篠田政府参考人 「組織的な犯罪集団の関与」というのは、先生おっしゃいましたように、二条における定義規定で規定しております「組織的な犯罪集団」というものの関与ということでございます。
○松本(善)委員 組織集団もだね。(c)もだね。それは私の言うとおりだということですか。委員長、もう一回。
○池田委員長 もう一度、松本君。
○松本(善)委員 私の言ったとおりかと。だから、二条の、今言ったのでは(a)は答えた。それから、(c)も係る、「組織された集団」ということになりますから、そうですかと言っている。
○篠田政府参考人 二条の(c)の「組織された集団」というのは、二条の(a)の「組織的な犯罪集団」の定義の中に規定されております「組織された集団」というものを受けた定義になっておりますので、全体として組織的な犯罪集団、こういうことでございます。
○松本(善)委員 はっきり早くそう答えないと、時間が足りませんからね。
 それから、このウィーン条約の十九条では、条約について留保をすることができるということが決められております。この条約の三十四条の二項であるとか、それから、あるいは問題になっている五条、六条、八条、二十三条などについて、留保をするということはできないんですか。
○篠田政府参考人 先生御指摘の五カ条、三十四条の2及び五条、六条、八条、二十三条につきましては、これらが一体になりまして各国に対し一定の行為の犯罪化というのを義務づけているわけでございます。その意味におきまして、これらの規定というのはまさにこの条約の中心的な規定でございまして、我が国としては、これらの条項について留保をするということは適当でもなく、また必要もないというふうに考えております。
○松本(善)委員 そうすると、五条についてはかなり縛りが、組織性ということで縛っているわけですが、五条以外の六条、八条、二十三条については全部外されて、国際性も組織性も外されて、一般犯罪に係ってくる、こういうことになります。
 そうすると、先ほども同僚委員から証人買収罪の問題で質問がありましたけれども、乱用の危険というものが起こるのではないかということを思いますけれども、どういうふうに考えていますか。
○篠田政府参考人 まず、今回の条約をつくりました際に基本的な考え方になっておりましたのは、国境を越えて深刻化している国際犯罪というものにより効果的に対応していく上で、これらの条約創設犯罪につきましては、国際性とか組織性という条件を基本的にかけないということが、翻って、国際組織犯罪というものに対する有効な対策になる。このような形で、むしろ対象犯罪を狭きに失するという形にしないことがこの国際組織犯罪というものと戦っていく上で重要であろう、こういう問題意識がございました。
 そこで、その交渉の結果、この四つの犯罪類型につきましては、基本的に国際性、組織性というものを条件づけないということにしたわけでございますが、共謀罪のみにつきましては、これはこの犯罪の性格からいたしまして、組織性については最低限かけることが必要であろうということで、各国の総意が得られたということでございます。
○松本(善)委員 答弁するときには、もうちょっときちっとあれして勉強してこないと困るので、聞いていることに十分答えていないから。
 乱用の危険の問題については、時間もありませんので、これは国内法のところでやることにして、三十四条三項の意味、何を意味しているか、どういう場合のことを考えているのか。
 それから、五条の1の(a)の(1)の「合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの」、これは何を意味しているか。両方かける場合があるのか、片方ずつということがあるのか。このことについて聞いて、質問を終わります。
○篠田政府参考人 三十四条の3につきましては、国際的な組織犯罪を防止し及びこれと戦うために、各締約国が条約に定める措置よりも厳しい措置等をとることが可能であるということを定めているものでございます。これを受けまして、例えば、今回、国内担保法案におきましては、我が国の公務員の贈賄について、自国民の国外犯規定を新たに設けるということの措置をしております。
 それから、五条1(a)の(1)の「合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為」という御指摘でございますが、これは、米国法のいわゆるオーバートアクトというものを念頭に置いたものだと考えております。すなわち、合意の成立以後に行われて、かつ未遂に至らない何らかの行為を意味するということでございまして、具体的に何がこれに当たるかにつきましては、各国が国内法制を踏まえつつ合理的に解釈するということが認められております。
 組織化された犯罪集団の関与、それから合意の内容を推進するための行為というこの二つの要件については、選択的な関係にあるということではございませんで、双方同時に要件とするということも条約上認められているということでございます。
○松本(善)委員 時間が来ましたので終わりますが、今聞きましたようなことは、現場で裁判をする人、検察官、弁護士にとっては実務上非常に重要なことなんですよ。それについての答弁として、多少、十分でない点が幾つかあったかと私は思います。
 このまま、審議としては尽くされていないと思うのですけれども、時間が来ましたので、終わります。

○池田委員長 次に、東門美津子さん。

○東門委員 社会民主党の東門でございます。
 これまで条約三本、かなり似たような質問が出てきましたので、私もちょっと戸惑っておりますが、しかし、準備をしてきましたので、質問をさせていただきます。
 まず最初に、越境組織犯罪防止条約の方からお伺いいたします。やはりトランスナショナルと出てくると、国際的ではないんじゃないか。先ほど同僚委員からございましたけれども、その訳はおかしいのではないかという思いで、やはり越境と私は使わせていただきます。
 世界貿易機関新多角的貿易交渉、新ラウンドの農業自由化交渉では、関税の大幅引き下げを求める米国と関税引き下げに慎重な日本、欧州連合、EUとの対立により、本年三月末が期限となっていました大枠合意が先送りされました。今後は、国や地域間ごとにブロックをつくり、関税を撤廃させる自由貿易協定の締結がますます加速されると指摘されており、実際米国は、FTAを重視してキューバを除く三十四カ国が参加する米州自由貿易構想を進めています。
 これは最近の多数国間協議で各国の主張が真っ向から対立した例であり、このように、国家は自国の国益を最優先します。本条約が発効し、締約国が増加したとしても、実際に締約国間の協力がなされなければ本条約を締結する意味はないわけですが、各国それぞれが自国の立場を主張する国際社会において、各締約国が確実に条約上の義務を守り、国際組織犯罪の撲滅がやがては実現するであろうと果たして簡単に言うことができるのでしょうか。
 ついては、本条約発効後の国際組織犯罪の減少の見通しを示していただきたいと思います。大臣にお願いします。
○川口国務大臣 国際組織犯罪、あるいは国際的でなくても犯罪、これはなかなかなくすのが難しいというのは委員が御案内のとおりでございます。
 これは、撲滅の取り組みのための重要な一歩であります。これで満足をすることなく、撲滅のために政府としては最善を尽くす所存でおります。
 見通しとしては、そういう意味では、そう簡単に、一朝一夕で、これが発効したからといって翌日になくなるということではない、みんなが努力を重ねなければいけない、そういうことだと思います。
○東門委員 いや、だれも翌日なんて言っていません。見通しは、どういうような形で見ておられるのかなということをお伺いしたんですが、それはいいでしょう。
 では、条約について伺います。
 この条約の適用範囲ですが、条約三条によって、原則として越境性のある組織犯罪集団の関与する犯罪と決められていると理解してよろしいですか。
○篠田政府参考人 条約の第三条に「適用範囲」という規定がございまして、対象となる犯罪として二つのことを挙げております。一つが、長期四年以上の自由剥奪に当たるような重大な犯罪等。もう一つは、先ほどから出ております第五条、六条、八条、二十三条と四つの類型の犯罪がございます。そういうものであって、かつ性質上国際的なもの、かつ組織的な犯罪集団が関与するものというのがこの条約の原則的な対象犯罪でございます。
 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、「別段の定めがある場合を除くほか、」という規定になっておりまして、この「別段の定めがある場合」という中の一つが三十四条二項ということであって、この規定によりまして、この四つの類型の犯罪につきましては、国際性それから組織性というものの条件を排除した形で国内法上犯罪化すべきであるということが定められているということでございます。
 この一つの例外が五条の共謀罪でございますけれども、共謀罪については、国内法上求められる場合には、組織的な犯罪集団の関与というものを条件づけることができる、こういうことであろうかと思います。
○東門委員 よく理解できていないかもしれませんが。
 この条約五条に基づいて、締約国は、共謀罪か、組織犯罪集団への参加罪の制定を義務づけられることになるわけですが、日本政府では共謀罪を選択するとされています。その選択の理由は何か、教えていただきたいと思います。
○篠田政府参考人 これは若干国内法の分野にわたるかもしれませんけれども、私の理解しているところでは、共謀罪というのは、既に我が国の刑事法制において一部の共謀罪というのがございます。
 したがって、基本的には我が国の刑事法制になじみがないわけではない犯罪類型ということでございますので、我が国としては、共謀罪の方を選択し、特定の犯罪と結びつけて論じられない参加罪というものについては選択をしなかったということでございます。
○東門委員 先ほども質問があったと思うんですが、この条約の審議、第二回セッションに提出しました一九九九年二月八日付ペーパーの中で、すべての重大犯罪の共謀と準備の行為を犯罪化することは我々の法原則と相入れないと日本政府の代表は述べていますが、この見解は今も変わらないのか、まずそれが第一点。もし変わっているとしたらどういう点が変わっているのか、なぜそういうふうに変わったのか。三点についてお願いします。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
 条約交渉の当初におきましては、定義、歯どめそのほか一切ないところでそういう議論が行われておりましたものですから、私どもとしては、重大な犯罪の定義そのほかにつきまして、日本の法体系にのっとった意見を申し上げて、現在の条文に交渉の結果合意が成立した、こういう経緯がございます。
○東門委員 最初はわからなかった、そういうふうになるとわからなかった。しかし、こういうふうに変わってきたということなんでしょうか。
 この条約は、三十四条の一項によって、国内法の原則に従って立法措置をとればよいことになっていますよね。だとすれば、日本政府は、日本の法原則と相入れない共謀罪の立法化は条約五条を留保することによって回避することができると思いますし、そうするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○石川政府参考人 先ほど参考人からお答え申し上げました。これは、国内法の問題になるかと存じますが、共謀罪につきましては、我が方刑法体系に親和性があるという判断のもとにコンセンサスに参加したということでございます。
○東門委員 要するに、留保はできないということですか。もう一度お願いします。
○篠田政府参考人 今御指摘の五条あるいは六条、二十三条、八条と、この四つの犯罪類型につきましては、法の抜け穴を巧みに利用しているという最近の国際犯罪組織のそういう犯罪を防止し戦うためには、こういった四つの類型の犯罪について国際性あるいは組織性というものを条件としない形で規定するということが極めて重要であるということが交渉の過程で総意となったわけでございますけれども、そういう意味合いにおきまして、これはこの条約の趣旨、目的にわたる非常に基本的な規定であろうかと考えておりまして、そのような条項につきまして留保をするということは必要でもなく、適当でもないというふうに私ども考えております。
○東門委員 条約六条によるマネーロンダリングの前提犯罪の拡大になりますが、組織的犯罪処罰法の処罰範囲をさらに拡大するということになりますよね。犯罪の重大性を刑期の長期四年以上だけで判断することは実情にそぐわないのではないかと思うんです。そのマネーロンダリングの規制としては、反対の強かった組織犯罪処罰法で十分であると思うんですが、これをさらに拡大することは必要なのでしょうか、どうでしょうか。
○池田委員長 篠田審議官。しっかりと答弁してくださいよ。
○篠田政府参考人 ちょっと繰り返しになって恐縮でございますけれども、組織的な犯罪集団の手口というのはますます巧妙になってきておりまして、極めて広範囲にわたる犯罪行為というのを通じて犯罪収益というものが得られてきているわけでございます。したがって、この犯罪収益というのは、犯罪組織の維持や拡大にとって非常にいろいろな形で使われるということが大きな問題になっているわけでございます。
 そういう意味で、資金洗浄罪の前提犯罪ということで、すべての重大な犯罪、それから条約に従って定められるこの四つの犯罪、マネーロンダリングの犯罪自体は除きますけれども、これを前提犯罪として含めるということを条約自体が義務づけているわけでございます。それを受けまして国内担保法案を作成されたというふうに承知しております。
○東門委員 先ほどから同僚委員の方からも本当に詳しくいろいろと質問ございましたけれども、私もこの条約を勉強していく中で、やはりこれから国内法の整備に入っていくときに、実際できているのかもしれないんですけれども、すごく大きな問題だなという感じがあるんですね。特に五条、六条、二十三条、私はこういうやはり、日弁連の意見書にも強く出てきておりますが、先ほどこれが中心的なところですという審議官の答弁にはあったんですけれども、やはり五条、六条、二十三条は留保するべきではないかという強い思いを持っておりますので、それは申し上げておきたいと思います。
 次に、国連の女性差別撤廃条約について伺います。

~中略~

○池田委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○池田委員長 これより各件に対する討論に入ることになりますが、討論の申し出がありませんので、採決に入ります。
 まず、児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○池田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○池田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 次に、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○池田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○池田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決定いたしました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○池田委員長 御異議はないと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ――――――――――――

■衆議院/議院運営委員会

平成十五年四月二十四日(木曜日)
    午後零時十六分開議
 出席委員
   委員長 大野 功統君
   理事 佐田玄一郎君 理事 佐藤 静雄君
   理事 原田 義昭君 理事 岸田 文雄君
   理事 下村 博文君 理事 高木 義明君
   理事 藤村  修君 理事 長浜 博行君
   理事 西  博義君
      小渕 優子君    北村 誠吾君
      左藤  章君    松浪 健太君
      三ッ林隆志君    森岡 正宏君
      鎌田さゆり君    永田 寿康君
      伴野  豊君    三井 辨雄君
      江田 康幸君    都築  譲君
      佐々木憲昭君    日森 文尋君
      江崎洋一郎君
    …………………………………
   議長           綿貫 民輔君
   副議長          渡部 恒三君
   事務総長         谷  福丸君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  手塚 仁雄君     鎌田さゆり君
  児玉 健次君     佐々木憲昭君
同日 
 辞任         補欠選任
  鎌田さゆり君     手塚 仁雄君
  佐々木憲昭君     児玉 健次君
    ―――――――――――――
四月二十三日
 議員松浪健四郎君の議員辞職勧告に関する決議案(野田佳彦君外九名提出、決議第三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 本日の本会議の議事等に関する件

     ――――◇―――――
○大野委員長 これより会議を開きます。
 まず、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。
○谷事務総長 まず最初に、日程第一ないし第三につき、池田外務委員長の報告がございます。採決は二回になります。一回目は日程第一及び第二で、全会一致であります。二回目は日程第三で、社会民主党が反対でございます。
 次に、日程第四ないし第六につき、村田経済産業委員長の報告がございます。採決は二回になります。一回目は日程第四で、共産党が反対でございます。二回目は日程第五及び第六で、全会一致であります。
 本日の議事は、以上でございます。
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  平成十五年四月二十四日
    午後一時開議
 第一 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 第二 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 第三 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件
 第四 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○大野委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。
    ―――――――――――――
○大野委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、来る五月六日火曜日午後一時から開会することといたします。
 また、同日午前十一時理事会、正午から委員会を開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十七分散会

■衆議院/本会議

平成十五年四月二十四日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  平成十五年四月二十四日
    午後一時開議
 第一 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 第二 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 第三 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件
 第四 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 日程第二 女子に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 日程第三 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件
 日程第四 特許法等の一部を改正する法律案 (内閣提出)
 日程第五 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案(内閣提出)

    午後一時三分開議

○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 日程第二 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 日程第三 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件

○議長(綿貫民輔君) 日程第一、児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件、日程第二、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件、日程第三、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長池田元久君。
    ―――――――――――――
 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件及び同報告書
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件及び同報告書
 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔池田元久君登壇〕
○池田元久君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、児童の権利条約改正について申し上げます。
 児童の権利に関する条約の締約国は、条約に基づき設置される児童の権利に関する委員会に対して、条約が定める児童の権利の実現のために自国がとった措置等に関する報告を提出することとされています。近年、条約の締約国の増加に伴い、提出される報告の数が増加しており、委員会による報告の審査業務に遅延が生じる状況になりました。このような問題を解決するため、平成七年十二月にジュネーブで開催された締約国の会議において、委員会の委員の数を増加させるための改正案が採択されました。
 本改正は、条約に基づき設置される委員会の委員の数を十人から十八人に改めるものです。
 次に、女子差別撤廃条約改正について申し上げます。
 女子差別撤廃条約の締約国は、条約に基づき設置される女子に対する差別の撤廃に関する委員会に対し、条約の実施のために自国がとった立法上、司法上、行政上その他の措置等に関する報告を提出することとされています。近年、条約の締約国の増加に伴い、提出される報告の数が増加しており、委員会による報告の検討業務に遅延が生じるという問題が指摘されるようになりました。このような問題を解決するため、平成七年五月にニューヨークで開催された締約国の第八回会合において、委員会の会合の期間についての改正案が採択されました。
 本改正は、条約に基づき設置される委員会の会合の期間について、現在、原則として毎年二週間を超えない期間と定められているのを、国連総会の承認を条件として締約国の会合で委員会の期間を決定するように改めるものです。
 最後に、国際組織犯罪防止条約について申し上げます。
 平成六年、イタリアのナポリで開催された国際的な組織犯罪に関する世界閣僚会議において、国際的な組織犯罪に対処するための国際協力の促進を目的とした文書の作成を検討することが提唱されたことを受けて、国連決議によって設立された政府間特別委員会において条約草案の検討が行われた結果、合意が成立し、平成十二年十一月の国連総会において本条約が採択されました。
 本条約の主な内容は、
 長期四年以上の拘禁刑などを定める重大犯罪を行うことを一または二以上の者と合意することを犯罪とすること、
 犯罪収益であることを隠匿する等の目的で資金洗浄を行うことを犯罪とすること、
 公務員の職務の遂行に関して不当な利益を約束することを犯罪とすること、
 条約の対象となる犯罪に関する犯罪人引き渡し手続を迅速に行うよう努めること
等です。
 児童の権利条約改正及び女子差別撤廃条約改正は四月十五日に、また、国際組織犯罪防止条約は十七日に、それぞれ外務委員会に付託されたものです。
 外務委員会におきましては、児童の権利条約改正及び女子の差別撤廃条約改正については十六日、国際組織犯罪防止条約については十八日に川口外務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十三日、三件につき質疑を行ってこれを終了し、まず、児童の権利条約改正及び女子差別撤廃条約改正について採決を行いました結果、いずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。次に、国際組織犯罪防止条約について採決を行いました結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決した次第です。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一及び第二の両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
○議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        外務大臣    川口 順子君
        経済産業大臣  平沼 赳夫君
        国務大臣    福田 康夫君

■参議院/外交防衛委員会

平成十五年五月八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     舛添 要一君     上杉 光弘君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     舛添 要一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松村 龍二君
    理 事
                山下 善彦君
                山本 一太君
                広中和歌子君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                河本 英典君
                佐藤 昭郎君
                月原 茂皓君
                日出 英輔君
                舛添 要一君
                矢野 哲朗君
                佐藤 道夫君
                齋藤  勁君
                榛葉賀津也君
                若林 秀樹君
                遠山 清彦君
                吉岡 吉典君
                田村 秀昭君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  石破  茂君
   副大臣
       防衛庁副長官   赤城 徳彦君
       外務副大臣    矢野 哲朗君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        佐藤 昭郎君
       外務大臣政務官  日出 英輔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 信明君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        安達 俊雄君
       防衛庁防衛参事
       官        大井  篤君
       防衛施設庁施設
       部長       大古 和雄君
       防衛施設庁建設
       部長       生澤  守君
       防衛施設庁業務
       部長       冨永  洋君
       外務省アジア大
       洋州局長     薮中三十二君
       外務省北米局長  海老原 紳君
       外務省中東アフ
       リカ局長     安藤 裕康君
       水産庁資源管理
       部長       海野  洋君
       国土交通省航空
       局次長      星野 茂夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(
 千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議に
 おいて採択されたもの)の受諾について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月
 二十二日に締約国の第八回会合において採択さ
 れたもの)の受諾について承認を求めるの件(
 内閣提出、衆議院送付)
○国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (イラク情勢に関する件)
 (中東和平に関する件)
 (テロ対策特措法に基づく協力支援活動に関す
 る件)
 (北朝鮮情勢に関する件)
 (陸上自衛隊の出張旅費不正使用問題に関する
 件)
 (防衛装備品の調達に関する件)
 (在日米軍の水中爆破訓練に関する件)
    ─────────────
○委員長(松村龍二君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件及び国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。川口外務大臣。
○国務大臣(川口順子君) ただいま議題となりました児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この改正は、平成七年十二月にジュネーブで開催された児童の権利に関する条約の締約国の会議において採択されたものであります。
 この改正は、児童の権利に関する条約に基づき設置される委員会の委員の数を増加することを目的とするものであります。
 我が国がこの改正を受諾することは、児童の権利を保障し及び促進するための国際的な取組を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 次に、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この改正は、平成七年五月にニューヨークで開催された女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締約国の第八回会合において採択されたものであります。
 この改正は、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に基づき設置される委員会の会合の期間について、一定の条件の下に締約国の会合において決定し得るようにすることを目的とするものであります。
 我が国がこの改正を受諾してその早期発効に寄与することは、男女の権利の平等を促進するための国際的な取組を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 次に、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成十二年十一月にニューヨークで開催された国際連合総会において採択されたものであります。
 この条約は、国際的な組織犯罪を防止し及びこれと戦うため、重大な犯罪を行うことを合意すること等一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪収益の没収、犯罪人引渡し等につき規定するものであります。
 我が国がこの条約を締結して早期発効に貢献することは、国際的な組織犯罪に効果的に対処するための国際的な取組に寄与するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○委員長(松村龍二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────

■参議院/外交防衛委員会

平成十五年五月十三日(火曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     吉岡 吉典君     富樫 練三君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松村 龍二君
    理 事
                山下 善彦君
                山本 一太君
                広中和歌子君
                高野 博師君
                小泉 親司君
    委 員
                河本 英典君
                佐藤 昭郎君
                桜井  新君
                月原 茂皓君
                日出 英輔君
                舛添 要一君
                矢野 哲朗君
                佐藤 道夫君
                齋藤  勁君
                榛葉賀津也君
                若林 秀樹君
                遠山 清彦君
                富樫 練三君
                吉岡 吉典君
                田村 秀昭君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  石破  茂君
   副大臣
       防衛庁副長官   赤城 徳彦君
       外務副大臣    矢野 哲朗君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        佐藤 昭郎君
       外務大臣政務官  日出 英輔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 信明君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       村田 保史君
       内閣官房内閣審
       議官       増田 好平君
       内閣府政策統括
       官        山本信一郎君
       防衛庁防衛参事
       官        大井  篤君
       防衛庁防衛局長  守屋 武昌君
       防衛施設庁建設
       部長       生澤  守君
       防衛施設庁業務
       部長       冨永  洋君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       外務大臣官房審
       議官       篠田 研次君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   天野 之弥君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     石川  薫君
       外務省アジア大
       洋州局長     薮中三十二君
       外務省中東アフ
       リカ局長     安藤 裕康君
       財務大臣官房審
       議官       藤原 啓司君
       財務省国際局次
       長        井戸 清人君
       文部科学大臣官
       房審議官     金森 越哉君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       経済産業省貿易
       経済協力局貿易
       管理部長     細川 昌彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(
 千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議に
 おいて採択されたもの)の受諾について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月
 二十二日に締約国の第八回会合において採択さ
 れたもの)の受諾について承認を求めるの件(
 内閣提出、衆議院送付)
○国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)

    ─────────────
○委員長(松村龍二君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。

~中略~

○大田昌秀君 国際的組織犯罪条約では、その第三条一項において、国際的犯罪の定義に関して、犯罪の性質が別段の定めがある場合を除き、国際的な犯罪であって、かつ、組織的な犯罪集団が関与すること、つまり国際性と組織性を兼ね備えたものを条約の対象とするとしています。
 このように、犯罪が性質上国際的である又は組織的犯罪集団とは具体的にどういうものか、外務省から御説明ください。
○政府参考人(篠田研次君) 先生御質問のまず国際的なものはどういうものであるかということでございますけれども、この条約の第三条の2に例示的な規定が置いておりまして、二つ以上の国において行われる場合。あるいは、犯罪が一つの国において行われるものであるが、その準備、計画、指示又は統制の実質的な部分が他の国において行われる場合。第三に、一つの国において行われるものであるが、二つ以上の国において犯罪活動を行う組織的な犯罪集団が関与する場合。第四に、一つの国において行われるものであるが、他の国に実質的な影響を及ぼす場合ということでございまして、この規定におきまして、これらの四つのケースが例示をされておるわけでございます。
 それから、組織的な犯罪集団につきましては二条の用語の規定におきまして定義が行われておりまして、組織的な犯罪集団とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものを言うという、以上の定義、以上の規定がございます。
○大田昌秀君 国内法整備に関連して法務省に一点だけお伺いします。
 新設される共謀罪は、犯罪の実行着手手前の共謀それ自体を処罰の対象とするとの内容となっているようですが、これでは犯罪の合意だけで犯罪となってしまうのではないでしょうか。実行行為がなくても四年以上の刑を規定している犯罪を相談したことを罪として最高五年の懲役を科すというものです。犯罪の合意の後に少なくとも、犯行手段や逃走方法を協議し、その準備をしているなどの行為、つまり顕示・助長の行為が犯罪の要件に必要なのではないでしょうか。いかがですか。
○政府参考人(樋渡利秋君) 新設いたします組織的な犯罪の共謀罪は、犯罪の共謀を一般的に処罰するというものではなく、条約の犯罪化義務の要請に従って、共謀の対象を死刑、無期又は長期四年以上の懲役又は禁錮に該当する重大な犯罪に限定しております上、その実行を団体の活動として、犯罪実行のための組織により行うこと、又は団体の不正権益の獲得、維持拡大の目的で行うことを共謀した場合に処罰するという組織的犯罪処罰法上の組織的な殺人等の加重処罰要件と同じ厳格な組織犯罪の要件を課しております。
 さらに、共謀罪が成立するためには、単に漠然とした相談程度では足りず、目的、対象、手段、実行に至るまでの手順、各自の役割等具体的な犯罪計画を実行するために必要とされる各種の要素を総合的に考慮して、具体性、特定性、現実性を持った犯罪実行の意思の連絡があることが必要でございます。したがいまして、その処罰範囲が不当に拡大するおそれはなく、犯罪の実行の合意だけで犯罪が成立することとしても不当なわけではございません。
 さらに、条約の合意内容を推進するための行為といいますのは合意の成立後に行われる何らかの行為を意味するが、これはアメリカのオーバートアクトを念頭に置いたものと考えられます。そもそも共謀罪にオーバートアクトを必要とするとの基本的な意義は共謀罪の処罰範囲が無限定に拡大しないようにすることにあると思われますが、組織的な犯罪の共謀罪には組織的犯罪処罰法上の組織的殺人等の加重処罰要件と同じ厳格な要件が課せられておりまして、犯罪実現の危険性が高く、犯罪の事前抑止の必要性も高い共謀に限られておりますから、処罰範囲が不当に拡大するおそれはないと考えられます。
 他方、合意の内容を推進するための行為を必要とした場合には、例えば共謀者の一人が共謀の成立直後に自首した場合など、共謀に関する明白な証拠はあるが当該共謀に基づく特段の行為は認められない場合にその検挙、処罰ができないなど不適当な事態も想定されます。また、現行法上の共謀罪、陰謀罪においては、一般に共謀、陰謀に加えてこの種の行為は要件とされておりません。
 したがいまして、合意の内容を推進するための行為を要件とすることは必要でもなく、また適当ではないというふうに考えております。
○大田昌秀君 短い質問を一点だけ、時間がありませんので。
 本条約で言う国際性と組織性は共謀罪等の犯罪の要件になっていますか。
○委員長(松村龍二君) 答弁は簡潔にお願いします。
○政府参考人(樋渡利秋君) これは簡潔になかなかなんでございますが、本条約は、第三条第一項におきまして、別段の定めがある場合を除くほか、共謀罪等の条約が犯罪化を求める犯罪又は重大な犯罪であって、性質上国際的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するものの防止、捜査及び訴追について適用すると規定しておりますところを、犯罪化に関しましては別段の定めを設け、第三十四条第二項において、条約の規定に従って定められる犯罪につきましては、共謀罪等の犯罪化を求める第五条の規定により組織的な犯罪集団の関与が要求される場合を除き、各締約国の国内法において第三条一項に定める国際的な性質又は組織的な犯罪集団の関与とは関係なく定めると規定しております。
 このように、条約第五条の規定により組織的な犯罪集団の関与が要求される場合を除きまして、国内法において犯罪化を行うに当たり条約上国際性又は組織性を要件とすることはできないとされておりますことから、今回の法整備に当たりましては、共謀罪について組織性の要件を採用し、組織的犯罪処罰法における組織的殺人等の加重処罰要件と同じ組織犯罪の要件を付しているほかは、犯罪化により国際性及び組織性を要件とはしていないということでございます。
○大田昌秀君 終わります。

○委員長(松村龍二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 
~中略~

○委員長(松村龍二君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松村龍二君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松村龍二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十六分散会

■参議院/本会議

平成十五年五月十四日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十二号
  平成十五年五月十四日
   午前十時開議
 第一 児童の権利に関する条約第四十三条2の
  改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国
  の会議において採択されたもの)の受諾につ
  いて承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃
  に関する条約第二十条1の改正(千九百九十
  五年五月二十二日に締約国の第八回会合にお
  いて採択されたもの)の受諾について承認を
  求めるの件(衆議院送付)
 第三 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連
  合条約の締結について承認を求めるの件(衆
  議院送付)
 第四 公益法人に係る改革を推進するための厚
  生労働省関係法律の整備に関する法律案(内
  閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 児童の権利に関する条約第四十三条2の改正(千九百九十五年十二月十二日に締約国の会議において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 日程第二 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第二十条1の改正(千九百九十五年五月二十二日に締約国の第八回会合において採択されたもの)の受諾について承認を求めるの件
 日程第三 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長松村龍二君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔松村龍二君登壇、拍手〕

○松村龍二君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、児童の権利条約の改正は、この条約に基づき設置される委員会の委員の数を増加することを目的とするものであります。
 次に、女子差別撤廃条約の改正は、この条約に基づき設置される委員会の会合の期間について、一定の条件の下に締約国の会合において決定し得るようにすることを目的とするものであります。
 最後に、国際組織犯罪防止条約は、国際的な組織犯罪を防止し及びこれと戦うため、重大な犯罪を行うことを合意すること等一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪収益の没収、犯罪人引渡し等について定めるものであります。
 委員会におきましては、三件を一括して議題とし、児童の権利条約の国内実施体制の整備、児童の権利委員会への日本からの委員の推薦、条約の締結による国際組織犯罪対策の向上、条約の締結に伴う共謀罪の新設等国内法の整備の在り方等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、順次採決の結果、児童の権利条約の改正及び女子差別撤廃条約の改正の両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定し、国際組織犯罪防止条約は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。

~中略~

○議長(倉田寛之君) 次に、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十六  
  賛成           二百三十二  
  反対               四  
 よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────

~中略~

○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
   
午前十時十分散会

たったこれだけの審議で、こんな重要な条約を国会は承認したのか?!

benetoncondom@hotmail.com
関組長


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Posted by 関組長 at 11:29 │法務委員会